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『自滅へ向かうアジアの星 日本~少子化こそ、わが国未曽有の国難だ~』【その2】日本の現状

『自滅へ向かうアジアの星 日本~少子化こそ、わが国未曽有の国難だ~』

【その2】日本の現状

 

2019.07.10
テーマ:政治
 
 

本日の問題提起として、橘理事長が『自滅へ向かうアジアの星 日本~少子化こそ、わが国未曽有の国難だ~』(著:中村 功氏)の中で、より取り上げたい重要な部分に触れていきます。
(全て該当著書からの抜粋です)
私が最も指摘したいのは、それら(※)に対して多くの国民が問題意識すら無いということです。それが最大の問題です。また問題意識はあっても、自分たちではどうすることもできないと諦めているのが日本社会なのです。
(※)「それら」が指すのは、産経新聞『論壇時評』1月号「平成30年間を振り返って」掲載内容より

 

1、この30年で日本の地位がどんどん低下し、国の借金はGDPの230%まで積み上がり、何十年も前から予測された少子化では何の手も打たなかった。本質的な改革をしないまま小手先のことばかりやり国際社会における日本は一流国から二流国になってしまった。

2、経済はここ20年以上停滞というより縮小している。実質賃金は20年で15%減少した。
根本的原因は実体経済の飽和だろう。

3、政府が決定した来年度予算案を見ると日本の国力低下は一目瞭然だ。少子高齢化で、社会保障費が歳出の3割超、それに借金の返済に充てる国債を合せると全体の6割に達する。ばらまきと批判される予算だが、ばらまきの余地すら乏しくなっている。日本に残された時間は少ない。

 

◆ゼロ成長の日本の国力、GDP(国内総生産)

 

(参考資料)世界のGDPのシェア
1995年 ⇒ 2016年
アメリカ24.60%⇒24.60%

日本17.50%⇒6.50%

中国1.80%⇒14.80%

ドイツ8.50%⇒4.60%

フランス5.40%⇒4.00%

韓国1.80%⇒1.60%

1995年日本の絶好調の時ですがアメリカは世界の24.6%を占め、我が国は17.5%を占めていました。(中略)アメリカは国家的危機を感じ大きく政策を転換し、金融とITを成長戦略とし、2016年のGDPシェアは24.6%とその地位を保持しているのはさすがというより凄い数字です。中国と発展途上国の挑戦を受けながらの数字ですから。(中略)一方、日本の2016年のシェアは6.5%になってしまいました。今や経済大国でも何でもなく、むしろ《衰退低下中》の国となったのです。(中略)この大敗退を知らない日本社会は―心ある皆さんが一番知っているように政治は小さな問題に明け暮れ、日常生活はグルメと旅行と安っぽい芸能番組とゴシップに夢中になっているのです。このままでは更なる失われた10年、20年は確実に続くのは間違いありません。しかし少し冷静に考えれば誰にでも分かるはずなのに、今の世の中はどうして誰も言わないのでしょうか。

 

著書

 

◆労働者全体の実質賃金は15%も減っている

 

賃上げされているのは大企業、官公庁の従業員のみで定期昇給の少ない中小企業、全くない非正規労働者の給料は上がっていません。結論だけ言いますと、労働者の80%を占める中小企業と非正規労働者の賃金を上げない限り彼らは買いたくても金がないのです。

なぜ、いつからこんなことになってしまったのか。

その最大要因は、1995年以降大企業が実行した「新しい時代の日本的経営」にあります。それによって、従業員の賃金カットを柱とする合理化であり、賃金の大幅な切下げによるものです。(中略)1985年、一億総中流社会の時代、いわゆる非正規雇用はパート・アルバイトのみで655万人でした。それ以外は大企業、中小企業を問わず全て正社員だったのです。そして原則として一度会社へ入ったら一生同じ会社で勤める終身雇用であり社員は家族であり、大家族主義でした。(中略)それが、1995年の「新しい時代の日本的経営」に切り替わり一変するのです。(中略)そこから生まれたのが正社員の替りに賃金が1/3の非正規社員の採用が始まります。

2000年に15歳~34歳の非正規社員の数が出ています。2000年では451万人だったのが、その人達が30歳~49歳になった2016年にはその数、751万人となっています。1996年以降に行った、派遣労働法の緩和、撤廃の結果です。

 

◆労働者の賃金を減らし大企業の利益を上げている

 

今話題の日産、ゴーン氏のコストカットマンの2万人解雇等の業績急回復が経済界でやり手として称賛された時代です。そのやり方は、首切りと賃下げ、正社員を非正規社員に切り替え、人件費を中心とする極端なコストカットをするのです。例えば日産の例で、推定として20,000人の正社員の年収を600万円と仮定し、これを年収200万円の非正規社員に置き換えたとします。
20,000人×(600万円-200万円=400万円)=800億円になります。賃金カットで日産は年800億円の経常利益が増えるのです。(中略)賃金の減少は購買力の減少であり、更に長期のデフレを呼ぶGDP低下の長期停滞を生み出したのです。

 

◆3階級に分かれた新しい格差社会の実体

 

《Aグループ》
大企業・正社員 約1000万人、官公庁 約200万人 合計1200万人 21.8%
708万円~893万円

《Bグループ》
中小企業 正社員 合計2400万人 42.8%
436万円~534万円

《Cグループ》
非正規社員 契約派遣社員・契約社員 合計500万人 8.9%
220万円

《Dグループ》
非正規社員 パート・アルバイト合計1500万人 26.7%
(統計できず)

 

何とAグループの社員とCグループの差は3倍以上あるのです。(中略)同じ給与所得である程度裕福に暮らしていける家族は約20%~25%でそれ以外は賃金も低くとても消費を増やす生活をするだけの所得はありません。いやむしろ所得は大幅に減っているのが現状だということです。

 

◆少子化はいつから始まったのか

 

1990年前後から始まりました。日本だけでなくヨーロッパでも同じ頃です。日本政府は効果のある手を打てませんでしたが、フランスは成功しました。
特にシングルマザー対策。フランスではシングルマザーの月収15万円に対してシングルマザー手当ては18万円で、給料より手当てが多い。
低所得者家賃補助、子育て手当ての大幅増、家族手当ての大幅アップと、低所得者への各種補助金。日本は企業に補助金を出すが家族へは少ない。フランスは富める者から貧しい人への富の再配分政策をやったのです。
本来「富の再配分」は政治の最大目標であり義務です。国会で本気で少子化対策を実行しようと取り上げたことがありますか。

 

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(理事長)
筆者である中村功さんは、抜本的な少子化対策も本書の中で提案されています。
例えば、結婚奨励金、住宅手当、母子家庭支援補助金、子供手当等合計で20兆円を想定し、その20兆円をどこから捻出すれば良いのかについても言及されています。

そうすることにより、経済が回り出したらすぐにペイできることは、誰でも理解できることなのに、どうして政治家はそこに取り組まないのか?

そして、政治家だけの責任ではなく、こういう実体をきちんと理解しようともせず、選挙権があるにも拘わらず、選挙にも行かない人が多過ぎる・・・そこに大きな問題があると感じています。

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【その3】では、橘理事長の問題提起、及び中村功氏の著書の内容を基に、参加者のディスカッション内容についてご紹介いたします。

 

◆『自滅へ向かうアジアの星 日本~少子化こそ、わが国未曽有の国難だ~』【その3】ディスカッション を読む

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