『これからの我々の具体的な活動について』(大人たちの取組み:前編)

『これからの我々の具体的な活動について』(大人たちの取組み:前編)

 

2019.10.16

 

学生の皆さんの感想とディスカッションに続き、レオ財団に関わっていただいている方々のうち、代表して3名の方に、ジム・ロジャーズ氏のシンポジウムにおける感想と、ご自身の取組みについてシェアいただきました。

 
 

南出 賢一氏
【理事長からの紹介】
3年前に泉大津市の市長選に出馬。それまで市会議員を務めていたが、市長になれなかったら政治家を辞めるという決意のもとに出馬し、1期目の市長を破り、泉大津市長に。

なぜ、南出さんのバックアップをしていたかと言うと、トップが変われば市そのものが変わるということを立証して欲しいと思ったから。それが出来る器の持ち主であり、新しいアイディアや行動力がある。

 
【南出氏の感想と取組み】
私がなぜ市長をしているかというと、「泉大津だけでなく日本も地球ももたない」と思ったから。
泉大津市は関西のへそのような場所にある。
泉大津から日本全国、世界の共通課題の解決モデル事業を官民連携、市民共創で行っている。

主には、健康と人材開発、テクノロジーの分野からの街づくりを手がけている。

 

ジム・ロジャーズ氏の講演を聴いて、なるほどなぁと思ったのは朝鮮半島の統一の問題。
38度線の解放が遅かれ早かれ10年以内に進むであろうということが、腑に落ちた。

 

東アジア最後の楽園である北朝鮮は資源が豊富。
ロシアも中国も支援をしているが、日本には偏った情報しか入ってきていない。

 

朝鮮半島の統一に向けて進めば、アメリカが、日本と付き合うのと北朝鮮と付き合うのと、どちらが得か?を考えれば、恐らく、朝鮮半島と付き合う方が利益になると判断するだろう。

 

その時、間に挟まれた日本の安保の関係はどうなるか?という問題、領土や領海問題が起こってくるのではな
いかと思った。

 

南出市長

 

更に、日本の食糧自給率が37%と過去最低となった。
10年ほど前に自給率が39%となったと言う時には、日本中報道の嵐だったにもかかわらず、今回は全く報道がされない・・・
おかしいなぁと思っていたところ、後になり出てきたのは自動車の関税の問題と農業の問題。

 

日本は自動車を守った。
しかし、イメージ的には農業を売り渡したも同じ。
今後、必ず起こる問題として捉えているのは、食糧問題。
そして、ジム氏からの指摘があったように、少子高齢化も深刻であり、社会保険医療費が爆発的に伸びてくると、日本の医療・介護の現場はもたない。

家庭における労働的、金銭的負担も顕著に表れてくる。
そうなった時に必要になるのは、歯を磨くような感覚で、自分の健康は自分で維持管理、整えるという、未来の当たり前をつくらなければならない。

 

そのためにも、ある程度のことは手術と薬以外の選択肢で問題を解決できる、そのための打ち手を泉大津で官民連携、市民共創で用意しているところ。

 

社会保障問題、食糧問題に加え、これからもっと円安が進むということも無視できない。
ジムの日本は物価が高い、もっと安くすべきというメッセージは、鵜呑みにせず注意をすべきである。

 

インバウンドも含め、外国は日本の良いところを安価に入手できるようになるが、日本は外国に良いところを搾取され、デフレから脱却できず、一部しか潤わない、多くは疲弊をするという可能性がリアルに想像できる。

 

泉大津市の街づくりを通して、人材開発・健康・食糧の問題解決モデルを構築することが重要と捉え、同じ課題をもつ全国の自治体や、海外諸国が、泉大津のノウハウを購入してくれるようになることが、泉大津だけではなく、広く社会の課題解決、経世済民につながっていく。そんなビジョンを描いている。

 

最後に、私自身が色々な打ち手を考えている根底にあるのは、我々は自然界の一部でしかないということ。
テクノロジーだけでは解決出来ない。
我々は自然界の一部でしかないということを根底においた、食や健康の在り方、教育を追求していくと大概のことは解決する。
しかし、時間がない。
国はこまわりが効かないが、泉大津でも既存制度があっての取り組みなので、風穴を開けたとしても変わるには時間がかかる。

 

間に合わないという危機感がある。
だから、一方で「梁山泊」(優れた人物たちが集まる場所)が必要である。

 

そのためのコミュニティをつくること、また、限界集落に新しい自治体をつくるくらいの行動も必要になってくる。

オルタナティブな在り方を世に見せていくということを同時に進めていくことが重要と感じている。

 

 

『これからの我々の具体的な活動について』(大人たちの取組み:後編)

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